ウォルナッツ・クレイワークスタジオ

「静岡新聞社情報誌(2011年)」にて粘土の立体造形イラスト表紙を担当しました。

ウォルナッツ・クレイワークスタジオは、静岡新聞社情報誌「ぐるまる探偵団」(2011年・31-36号)にて粘土の立体造形を行いました。2010年に引き続き、2011年も表紙(ラフデザイン、粘土造形、撮影)、誌面レイアウトデザイン(ロゴデザインやレイアウトデザイン、写真の構成、ディレクション、取材など雑誌を制作する全ての工程)など、情報誌制作に関する全ての作業を担当させていただきました。

3年に一度の大祭「掛川大祭の大獅子」を立体造形しました。

静岡新聞社情報誌31号 「掛川大祭」
静岡新聞社情報誌31号 「掛川大祭」

第31号は、日帰りで楽しむ観光スポット特集ということで「掛川大祭」をテーマに、粘土の立体造形を制作をしました。3年に一度の大祭である「掛川大祭」では、威勢のいいお囃子とともに日本一の大きさを誇る大獅子が街を練り歩きます。その迫力にびっくりというシチュエーションで制作しました。

巨大な獅子頭に胴体が25メートルに及ぶ獅子の巨体は、百数十人が呼吸を合わせて操り、激しく舞い踊ります。篝火が点り始める頃には、大獅子が大乱舞を繰り広げる姿を取材し、その迫力に圧倒されたことをよく覚えています。獅子頭と巨大な胴体に差をつけながらデザインするために、獅子頭はネンドで、胴体はベースに粘土を置きながら、実際の大獅子と同じ模様の布を巻き周囲を縫い合わせることで、質感を変えた表現で立体造形ができました。

ウォルナッツ・クレイワークスタジオは、粘土を中心とした作品が多いのですが、今号の造形のように印象が強い部分(獅子頭)を引き立てるために、違う素材を利用したりするなど臨機応変に造形を行っています。誌面からパッと印象づけられることがとても大事だと考えています。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、ニス、布、針金、絵具などです。

サイケデリックな、ねんど?掛川の「べっかこう」

静岡新聞社情報誌32号 「横須賀凧のべっかこう」
静岡新聞社情報誌32号 「横須賀凧のべっかこう」

第32号は、町自慢特集「掛川市」ということで、「横須賀凧のべっかこう」をテーマに粘土の立体造形を制作しました。キャラクターたちが、空に浮かぶ「べっかこう」を見上げながら、同じように舌ベロを出して遊んでいるシチュエーションです。奇想天外でユニークな形と色彩が特徴の「横須賀凧」は、戦国時代、敵の陣地の測量や通信手段などに利用されたのがその始まりといわれ、約500年ほどの伝統があります。取材で伺った際、セミの形をしたものや太鼓の形をしたものなどとてもユニークなデザインの凧が多く、その中でも「べっかこう」のデザインはイラスト的でサイケデリックな異色の凧でした。

「べっかこう」は大きな赤い舌が特徴で、目は銀色で揚げた時、ぐるぐると回る仕掛けがされているようで、サイズも大きく1メートル近くあったように覚えています。飛ばす事よりも飾っておいても面白いなぁと感じました。造形は全てねんどを使用して制作しています。ベッカコウの顔の形を作り、赤い舌をはじめとした顔のパーツを粘土で作り、福笑いのように貼り付けて作っていきました。もちろん特徴的なぐるぐる回る目は、本物と同じように、銀色の光沢を出すために、銀で塗り固めた後、光沢液をつけて仕上げています。元々のデザインがとてもユニークなので、完成した粘土細工の「べっかこう」も、とても面白く仕上げられることができました。今でも大変気に入っている作品です。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、光沢液、針金、絵具などです。

粘土で合格祈願?菅原道真公の絵馬作り

静岡新聞社情報誌33号 「磐田市の見付天神”矢奈比賣神社”」
静岡新聞社情報誌33号 「磐田市の見付天神”矢奈比賣神社”」

第33号は、町自慢特集「磐田市の見付天神”矢奈比賣神社”」がテーマということ、そして受験シーズンであることを踏まえ、神社にゆかりのあり、学問の神様と言われる菅原道真の絵馬をモチーフにして粘土の立体造形を制作しました。受験シーズンに合格に向けて勉強に励むキャラクターを、絵馬の中の菅原道真が見守っているというシチュエーションで制作しました。

磐田市と聞くと、ヤマハ発動機やサッカーのジュビロ磐田を想像しますが、最近では磐田市のキャラクター”しっぺい太郎”も人気で、面白いスポットも大変多い場所です。その代表的なものとして見付天神”矢奈比賣神社”があります。ご利益がすごくある神社で、主祭神「矢奈比賣命(やなひめのみこと)」は、安産・子宝・子育て・縁結び等のご利益があり、相殿の「菅原道真公(すがわらのみちざねこう」)は、お天神様と称されるように、学業向上・合格祈願にご利益があります。先に記載したしっぺい太郎も実はこの神社にお祀りしています。ご利益は厄除け・災難除、最近ではペットの健康祈願にご利益があるとされています。しっぺいはペットなの?となったこともいい思い出です。

モチーフにしている菅原道真公の絵馬はこの見付天神”矢奈比賣神社”で販売されており、これを粘土で作ってみたいと思いました。絵馬自体は木に絵が描かれているものになりますが、せっかくねんどを使っているのにそれでは少しつまらないな。ということで、道真公が少し飛び出すようにして覗いているデザインにしようと思いました。ただ、あまりディフォルメしてしまうと絵馬自体の魅力が半減してしまい、ただの冗談のようになってしまいそうなので、菅原道真公は粘土でディフォルメし、それ以外はできる限り本物に近い形にして、イラストレーションのバランスを取るようにしました。絵馬に描かれている朱印や文字はそのままレタリングして、絵馬についている縁起のいい紐は本物に近い紐を使用しました。シチュエーションはユーモラスだけれど、どことなく品があり、あたたかい作品にできたと気に入っています。制作裏話的ではありますが、少しでも受験生にご利益があればいいな、そんなわけないかなと思いながらも、僕なりの念を送るように制作していたことを思い出します。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、紐、針金、毛筆絵筆、絵具などです。

ねんどのキャンプ場。見た目はほんわか、作るのは大変。

静岡新聞社情報誌34号 「アウトドア」
静岡新聞社情報誌34号 「アウトドア」

第34号は、日帰り観光スポット「アウトドア特集」がテーマということで、キャンプ場でのアウトドアを粘土の立体造形を制作しました。キャラクターたちが、外で食べる食事は美味しいね、自然を楽しむって素敵だね。リス君それ僕のカレーなんだけど、というシチュエーションで制作しています。静岡県は町から山も海も近くにあり、とても自然豊かな場所です。高速道路から降りて30分も走れば自然がいっぱいのキャンプ場がたくさんあるため、県外からアウトドアを楽しむ人たちもすごく多いです。芝生の上にテントを張り、自分たちで火の準備をして、あたたかい食事を取る。周りには気のいい仲間がいて、いろいろなことを語り合うようなキャンプ場の楽しさを誌面上で伝えたいな、と思いデザインをしたことを覚えています。

キャンプ場で必要なものを粘土で作ることになり、必要なものはテント、焚き火、飯ごう、メニューはやっぱりカレーだなと考えていくと、作るパーツがとても多くなってしまいました。テントもねんどで作るため、平たくしたねんどの形を整えながら、テントのように張り合わせる。とはいえ、ねんどは柔らかいため、なかなか形をキープしてくれない。そのためベースを作り、そこにテントを貼り付け、乾かし、貼りあわせるといった作業の繰り返しで、「これ、テント張る方が楽だよね」と思いながら制作したことを覚えています。焚き火の木も1本1本木目や年輪もつけて制作しています。画像ではよくわかりませんが、中には焦げた木も入っていたりします。石も同様に1つ1つ、同じ形がないようにランダムに自然な形で制作しています。

調理器具も全て粘土で制作しています。ねんどで形作ったものに光沢をつけ、持ち手を針金の素材に変える。調理器具が終わった後は、野菜をねんどで作り、カットして、鍋に入れて、レジンを流し込んだりと手間がかかる作業の連続だったことを覚えています。デザイン的にも背景に緑をひくことでどこまでも自然が広がっていくようなレイアウトにもできて満足しています。シチュエーションはとってもほんわかのんびりしていますが、中々ハードな制作でした。ただ苦労が多かった分、とても気に入っています。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、スポンジ、ニス、針金、絵具などです。

「功名が辻」で有名な掛川城を粘土で造形

静岡新聞社情報誌35号 「掛川城」
静岡新聞社情報誌35号 「掛川城」

第35号は、日帰り観光スポット特集「掛川市」がテーマということで「掛川城」をモチーフにして粘土の立体造形を制作しました。ここは有名な掛川城だよ。城下町で買ったお団子ばかり食べないで、歴史の話を聞いてくれる?というシチュエーションで制作しました。掛川城の歴史は、室町時代から。駿河の守護大名今川義元が遠江進出をねらい、家臣の朝比奈氏に命じて築城させたのが掛川城の始まり。NHKの大河ドラマで有名な『功名が辻』の山内一豊が城主として10年間在城していて、掛川の城下町の建設などで尽力したという歴史あるお城です。現在の掛川城は平成6年に再建されたものですが、実際に見るととても立派なお城で、今回の表紙は掛川城にしようと思ったことをよく覚えています。

掛川城は石垣も全てねんどで制作しています。かわらの美しいお城のため、細かな部分まで慎重に制作しました。重厚なお城だけでは誌面が重たくなってしまうため、お城の前でキャラクターがのんびりとお菓子と掛川茶を飲んでいる様子を入れてバランスを取るようにデザインしました。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、スポンジ、布、針金、絵具などです。

夏の御前崎は、海の幸の宝庫だよ!美味しいお魚を粘土で制作

静岡新聞社情報誌36号 「御前崎市」
静岡新聞社情報誌36号 「御前崎市」

第36号は、町自慢特集「御前崎市」がテーマということで御前崎の海の幸「カツオと金目鯛」をモチーフに粘土の立体造形を制作しました。やっぱり御前崎の自慢はカツオだぜ、なんの金目鯛だって美味しいんだぞ、と漁師とキャラクターの掛け合いをシチュエーションにして制作しました。静岡県の静岡市や浜松市などの都市からも御前崎市は近く、週末に車で出かけて海を見ながら海の幸を買いに行くということを楽しんでいる人も多くいます。御前崎の市場からすぐに店に並ぶ海の幸は、とても新鮮で本当に美味しいものばかり。この時ばかりは、静岡県に住んでいるって幸せだよなと感じずにはいられません。もしまだ、御前崎の魅力を知らない人がいたらぜひ知ってもらいたいと思い、今号で御前崎の海の幸をテーマにしようと思いました。

魚や漁師さんは全て粘土でできています。リアルな魚を粘土で作って掲載するというよりも、誌面からユーモアを感じ、ほんわかした雰囲気を出す方が良いだろうな(魚の写真はたっぷり記事であるので)と思い、このようなタッチで立体造形を制作しました。カツオの形に粘土を造形し、海からあげられたばかりの状況である、新鮮な状態であるカツオを見せるために、造形物の上に光沢液を塗り、演出しました。漁師のキャラクターの「おいおい、重いのに無理すんなよ」的な微笑ましい表情が、とても優しい気持ちにさせてくれる作品にできたと今でも気に入っています。粘土造形をしていて思うのですが、作っている時の心情がそのまま作品に投影されるいい例だなと、振り返って思います。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、光沢液、針金、絵具などです。

グラフィックデザインから取材まで幅広い作業をさせていただきました

静岡新聞社という静岡県で最も大きな新聞社の情報誌を、表紙デザインだけでなく記事全文24Pの誌面レイアウトデザインも含め、この時点で丸6年担当させていただいておりました。1つの媒体でここまで長く行うことは、とても光栄でウォルナッツ・クレイワークスタジオとして非常に自信をつけさせていただいた雑誌です。ねんどの立体造形技術や撮影機材、イラストレーション技術も向上し、スタッフも充実した中、クレイアニメーションなどにも力を入れ始めた時期であり、もっと良いものを作りたい、喜んでいただけるものを作りたいと強く思いました。

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