ウォルナッツ・クレイワークスタジオ

「静岡新聞社情報誌(2014年)」にて粘土の立体造形イラスト表紙を担当しました。

ウォルナッツ・クレイワークスタジオは、静岡新聞社情報誌「ぐるまる探偵団」(2014年・49-54号)にて粘土の立体造形を行いました。2013年に引き続き、2014年も表紙(ラフデザイン、粘土造形、撮影)、誌面レイアウトデザイン(ロゴデザインやレイアウトデザイン、写真の構成、ディレクション、取材など雑誌を制作する全ての工程)など、情報誌制作に関する全ての作業を担当させていただいております。

笑う鬼瓦には福来たる?遠州伝統工芸を粘土で作成!

静岡新聞社情報誌49号 「袋井の遠州鬼瓦」
静岡新聞社情報誌49号 「袋井の遠州鬼瓦」

第49号は、町自慢特集「袋井の遠州鬼瓦」ということで珍しい「笑う鬼瓦」をテーマに、粘土の立体造形を制作をしました。お、わしの上に乗ってるのは誰じゃ?わっはっは。というシチュエーションで制作しております。静岡県の瓦製造の歴史は古く、駿府城築城の頃。三河の瓦職人が清水の良質な粘土を原材料として瓦を制作したのが始まりとされています。特に静岡県西部の瓦は「遠州瓦」という名前で有名で、ぜひ情報誌で取材をしたいと思い、遠州瓦を制作されている静岡県袋井市の「鬼秀」さんを見学させていただきました。

鬼瓦と聞くと、家の鬼門など厄災を除くために屋根の端に備え付けられる怖い鬼の面をイメージすると思います。でもこの遠州瓦の鬼はというと「笑った鬼瓦」なんです。家の屋根の上でニコニコと笑いながら備え付けられている鬼瓦を見て、なんだか厄除けというより福招きのようですごく素敵だなと感じたことを思い出します。鬼瓦としての制作はもちろんですが、オブジェやアートとしても制作されている様子を見て、僕もねんどでこの遠州瓦を制作して表紙に登場させよう、なんだか福がありそうだし!と作業を進めました。

本物と同じく粘土を使うのですが、土粘土ではなく、樹脂粘土を使っての瓦制作です。シチュエーションの「お、誰だ~?」感を出したかったので、片目は笑いながらも上を見上げるというデザインにしました。瓦のベースを制作したのち、顔のパーツを作り上げていきます。これが不思議と、実際の瓦造りと同じように線を入れたりしながら制作するのでとても面白かったです。造形した後は、瓦と同じように少し鈍い光沢を出す必要があり、光沢液を薄めながら、マットと艶出しの微妙なラインで仕上げることができました。ユニークな表情に作り上げられて作品としてとても満足しています。裏話として、あまりに本物の瓦と似た質感とスタイルだったため、お店に新作が出来たの?と問い合わせがあったと聞き、「うわーごめんなさい」と言ったこともいい思い出です。本物に近づけ過ぎるのも難しいところです。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、ニス、針金、絵具などです。

オシャレな女性をねんどで演出!ミニチュア家具職人のようなクラフト造形

静岡新聞社情報誌50号 「女性が楽しむオシャレなカフェ」
静岡新聞社情報誌50号 「女性が楽しむオシャレなカフェ」

第50号は、グルメ特集として「女性が楽しむオシャレなカフェ」ということで「カフェテラスで楽しむ女性」をテーマに、粘土の立体造形を制作をしました。お食事はいかがですか、お客様。こちらはお店からのデザートのサービスです。というシチュエーションで制作しました。街中のオシャレなカフェを特集しよう!ということで、昼間に楽しむお店、夜お酒を楽しむお店など様々なスタイルのお店を取材させていただきました。

今回は女性がメインの特集ということで、表紙には絶対に女性キャラクターを作ろうと決めてました。カフェテラスでお酒を楽しみながら談笑するシチュエーションを考えデザインを始めたところ、色々な箇所で、今までやってこなかったクラフト造形をする必要があることがわかりました。オシャレなカフェだから居酒屋みたいな木のテーブルはダメだな、ワイヤーで編まれたようなテーブルにしたいなと思い、針金でテーブルづくりを始めたのですが、これがとても大変。バーナーを使いながら、針金を曲げ、彫金する。いつの間にかミニチュア家具職人のようになってしまいました。

女性のキャラクターも、見た瞬間に「オシャレで大人な女性」をイメージさせる必要があり、髪型や服装、ポーズなど細部にまでこだわって作ったため、とても良いキャラクターを作ることができました。テーブルの上のミニチュアフードを粘土で作り、女性たちが持っているグラスはレジンで制作したのち、粘土のドリンクを入れました。非常に大変な作業ではありましたが、金属素材とキャラクターの粘土感が融合して、本当に良い出来の粘土造形ができました。今でも参考にするほど気に入っている作品です。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、ニス、針金、プラスチック板、レジン、絵具などです。

初夏に咲く日本の花を粘土で表現。

静岡新聞社情報誌51号「遠州花めぐり」
静岡新聞社情報誌51号「遠州花めぐり」

第51号は、日帰りスポット特集として「遠州花めぐり」をテーマに、粘土の立体造形を制作をしました。初夏になると色々なお花が見られて嬉しいね。ゆりに紫陽花、菖蒲にききょう、どれも本当に綺麗だね。というシチュエーションで制作しました。静岡県中遠地方は、初夏になると様々な場所で美しい花の庭園が見られ、全国から多くの人が訪れています。あまり花を楽しみに出かけることが少なかったため、この機会にぜひ色々見てみたいと思い取材に向かいました。

取材に向かったのは袋井市にある「可睡斎のゆり園」、庄屋屋敷「加茂荘」の加茂花菖蒲園、遠州森町極楽寺の「あじさい園」、香勝寺の「ききょう園」です。どの庭園も信じられないほどの美しさで、梅雨の季節の独特の空気感と日本の花が本当に良い雰囲気でした。ぜひ今号の表紙ではこの美しい花を粘土で造形したいと思い、制作に入りました。

粘土で作る花の立体造形は、通常の手法とは異なり、油絵の具を塗り込みながらの造形を行いました。造形した後も、どこかしっとりと濡れたような雰囲気を出すために、あえて絵の具を変更してみました。今回大切にしたことは、花のリアル感。その精巧さから本物と見間違えるレベルまで仕上げる必要があり、ディフォルメしてしまうと、急にユニークになってしまいます。今回はユニークさより、日本の花の美しさを表現することに重きを置きました。

全ての花は、それぞれ花びらを1枚1枚指先で丁寧に作り、重ね合わせながら花を作り上げていきます。茎や中の芯まで本物に忠実になるよう制作しており、花が咲くように少しづつ、広げて制作しています。中でも紫陽花の造形は、1つ1つの花びら、茎、雄しべ、雌しべを全て制作し、小さな花束を作り出しました。たくさんの花の集合体によって、紫陽花の持つ丸く可愛らしいフォルムの中にある儚さや美しさを表現できたと思います。これまでの制作物の中でもかなりのクオリティと時間を費やして制作した作品であったため、今見ても本当に素晴らしい出来になったと誇らしい表紙です。でも実際表紙で使用した時、粘土の花と思ってもらえなかったというオチもつきました。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、ニス、針金、油絵具などです。

平安時代から続く「竜伝説」!キャラクター感たっぷりのジオラマに仕上げました。

静岡新聞社情報誌52号「遠州七不思議_桜ケ池の竜神伝説」
静岡新聞社情報誌52号「遠州七不思議_桜ケ池の竜神伝説」

第52号は、町自慢特集として「遠州七不思議_桜ケ池の竜神伝説」をテーマに、粘土の立体造形を制作をしました。龍神様の供養のためにおひつを持って。ねぇ、仲良しだからって龍神様の上に乗っちゃダメだよー!というシチュエーションで制作しました。今号の特集は「遠州七不思議_桜ケ池の竜神伝説」です。竜神とは?という感じで色々調べてみると歴史がまた古い。静岡県の遠州地方は本当に色々面白い物語が多いです。

平安時代終わり頃、56億7000万年後に現れるという弥勒菩薩に教えを乞うと言い残し、自ら桜ヶ池の底に沈んだ高僧「皇円」阿闍梨。その高僧「皇円」阿闍梨が龍の姿に化身し、「龍神様」として土地を守り続けているという伝説出そうそうです。今でも五穀豊穣を祈る「おひつ納め」が、秋の彼岸の中日に行なわており、おひつを一つは「池宮神社」に、一つは師の「皇円阿闍梨」にと、池心に沈める祭りが、ずっと行われているという遠州七不思議の一つです。

なんだかすごい物語だなと思うのと同時に、これを表現するととても難しくなってしまうなとも思いました。そこで龍神様をキャラクターにして、ずっと見守ってくれているのならばきっと優しいにちがいない!と考え制作したことを覚えています。竜の表情も可愛く、ひょうきんにすることでキャラクターの面白さを表現するとともに、竜の鱗を1枚1枚粘土で制作して貼り付けるなど細部にまでこだわって作り上げました。お櫃のご飯も全て粘土でできております。面白さと精密さのバランスのとれたジオラマ作品として、今でもとても気に入っている作品です。使用した素材は、樹脂粘土、軽量粘土、スポンジ、針金、絵具などです。

静岡新聞情報誌は52号から名前を変え、新しい情報誌として生まれ変わりました。

リニューアルということで今までのねんど細工は2014年で終了となりました。この情報誌を担当して8年もの月日が経ち、こんなにも長期間情報誌を担当させていただけるとは思ってもみなかったので、本当に嬉しく今でも感謝しております。今思えばこの探偵と愛犬のキャラクターとともに色々な場所に行き、町の素晴らしさを知り、それを表現させていただいた。キャラクターとともに僕自身も大きく成長させていただいた仕事となりました。

この仕事を通して粘土の立体造形技術や撮影技術、デザイン能力は飛躍的に向上し、今日の国内外での仕事に繋がっていると感じています。何よりもこのような情報誌を担当できたことが、いつまでも僕の中で誇りであり、もっと良い作品を生み出していきたいと思う原動力になっています。またこのようなお仕事に出会えることを楽しみに、これからも日々全力で良いものを作り続けていこうと思っています。

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