ザ・トイボックス|FANTASIAN(FANTASIAN Neo Dimension) VideoGame×Diorama MISTWALKER/株式会社スクウェアエニックス 2021

Description
クレイアート × ミニチュアジオラマ × ゲーム空間デザイン
ザ・トイボックス(2021年制作)/FANTASIAN(FANTASIAN Neo Dimension)より
Apple Arcade向けRPG『FANTASIAN』(ミストウォーカー制作/スクウェア・エニックスより『FANTASIAN Neo Dimension』として再展開)のステージの一つ、“ザ・トイボックス”。ミニチュアジオラマとゲーム空間を融合させたユニークなステージ演出が特徴です。
ウォルナッツ・クレイワークスタジオでは、本ステージの造形用ビジュアルデザイン、設計デザイン、ジオラマ立体造形、照明、撮影、3Dスキャンまでを一貫して担当。緻密な造形と豊かな物語性により、“誰かがかつて暮らしていた痕跡”がリアルに立ち上がる空間を構築しました。
この部屋は、乱雑に物が散らばりながらも、どこか知的な空気が漂う研究室をイメージ。机や棚、椅子、薬品瓶、骨格標本など200点を超える家具や小道具を、粘土・紙・発泡素材などを使ってすべて手作業で造形しています。棚や引き出しは実際に開閉可能で、家具の意匠や装飾はすべて異なり、住人の性格や趣味嗜好まで想像できるように設計されています。
獣の頭蓋骨、望遠鏡、酒瓶、薬瓶、タイプライター、植物、1mm大のネジまでもがすべて粘土製。細部に宿るリアリズムが、空間全体の“物語性”を深めています。
また紙で作られた本やメモには、コーヒー染みや手書き文字、紙質の差異といった演出を加え、10〜20mmスケールでの“使い込まれた本棚”を実現。色彩計画では、空間全体を落ち着いたトーンで統一しつつ、各アイテムの彩度や質感に変化を持たせ、静寂と混沌が共存する空間表現に成功しています。
このジオラマはApple Arcade版に続き、スクウェア・エニックスより家庭用ゲーム機向けに展開された『FANTASIAN Neo Dimension』にも登場。デジタルとアナログの技術を融合させた立体表現として、世界中のプレイヤーに体験されています。ゲーム業界と造形アートの垣根を越えた、新たなクリエイティブのかたちとして高く評価されています。
〈制作情報〉
ジオラマ名:ザ・トイボックス(FANTASIAN/FANTASIAN Neo Dimensionより)
セットサイズ:H400mm × W600mm × D450mm
縮尺:1/30スケール
制作期間:約1ヶ月半
使用素材:樹脂粘土、軽量粘土、透明粘土、スチロール、紙、針金 ほか
担当業務:造形用ビジュアルデザイン、設計デザイン、立体造形、照明、撮影、3Dスキャン