【ジオラマ制作/クレイアート】<br>FANTASIAN ザ・トイボックス|ゲーム空間美術

【ジオラマ制作/クレイアート】
FANTASIAN ザ・トイボックス|ゲーム空間美術

©MISTWALKER/©SQUARE ENIX

クレイアート × ミニチュアジオラマ × ゲーム空間デザイン × 美術造形

Apple Arcade向けRPG『FANTASIAN』(ミストウォーカー制作/坂口博信氏)および、スクウェア・エニックスよりリリースされた『FANTASIAN Neo Dimension』に登場するステージ“ザ・トイボックス”の実写ジオラマセットを制作しました。本作は、ミニチュアジオラマとデジタルゲーム空間を融合させた革新的ステージ演出として注目を集めた代表的作品のひとつです。ウォルナッツ・クレイワークスタジオでは、造形用ビジュアルデザインから設計、立体造形、照明・撮影、3Dスキャンに至るまで全工程を担当。“誰かがかつて暮らしていた痕跡”をテーマに、緻密な造形と光演出によって、現実とファンタジーの境界を越える空間を構築しました。

〈コンセプト〉

舞台は、乱雑に物が散らばりながらもどこか知的な雰囲気を漂わせる小部屋。研究室のような空間をモチーフに、机や棚、椅子、薬品瓶、骨格標本など200点を超える家具や小道具を樹脂粘土・紙・発泡素材を用いてすべて手作業で制作しました。棚や引き出しは実際に開閉可能で、家具のデザインや装飾も一点ごとに異なります。住人の性格や趣味嗜好までも想像できるよう設計され、“生活の残り香”が感じられる空間表現となっています。獣の頭蓋骨、望遠鏡、酒瓶、薬瓶、タイプライター、植物、1mm大のネジに至るまで全て粘土製。細部のリアリズムが、空間全体の物語性を支えています。

〈造形・演出の特徴〉

床のレンガタイルはモデリングペーストでランダムにコーティングし、一マスずつカッターで削り出す手作業仕上げ。この“わずかな不均一さ”が、人の手でしか生み出せない温度とリアリティをもたらしています。家具や壁面の素材感、塗装のムラ、使用感のあるテクスチャまで丁寧に再現。紙で作られた本やメモにはコーヒー染みや手書き文字を施し、10〜20mmスケールでの“使い込まれた本棚”を表現しています。色彩設計では空間全体を落ち着いたトーンで統一しながらも、彩度や質感に微妙な差を与えることで、静寂と混沌が共存する空気感を生み出しました。全体の構造は分割・組み立て可能なモジュール構造で設計され、展示・輸送・再セッティングにも対応できる仕様です。

〈撮影・照明設計〉

撮影には3Dスキャン対応のLED照明を採用。シルエットが出ないよう、4方向からの柔らかな光で全体を包み、物体の立体感と重さを天井光で演出しました。自然光のようなグラデーション照明により、被写体の奥行きを際立たせ、デジタル化に最適な質感データを確保しています。この撮影手法は、実際のジオラマ造形を3Dデータとして取り込み、ゲーム内背景へと変換する際に欠かせない工程であり、アナログ造形とデジタル空間をつなぐ“ハイブリッド制作技法”として高く評価されました。

〈担当範囲〉

・造形用ビジュアルデザイン/設計デザイン
・粘土・発泡素材による立体造形
・照明設計・撮影・編集
・3Dスキャン・データ化対応
・展示対応(分割・組立式構造設計)

〈制作情報〉

・ジオラマ名:ザ・トイボックス(FANTASIAN/FANTASIAN Neo Dimensionより)
・ セットサイズ:H400 × W600 × D450mm
・ 縮尺:1/30スケール
・制作期間:約1ヶ月半
・使用素材:樹脂粘土、軽量粘土、透明粘土、スチロール、紙、針金、モデリングペースト ほか
・撮影方式:LED照明+3Dスキャン対応
・制作年:2021年

本作は、ジオラマ制作・粘土造形・照明演出・3Dスキャン撮影を融合させた、ゲーム空間美術の新たな表現事例です。ウォルナッツ・クレイワークスタジオでは、ゲーム・アニメ・展示会・企業ミュージアムなど、多様な領域に向けて、ミニチュアジオラマやクレイアートを用いた空間演出・ビジュアルデザインを提供しています。

Client
スクウェア・エニックス, MISTWALKER
Year
2021
Style
Diorama

■ 同カテゴリの作品

■ 同クライアントの作品

■ タグ