【ジオラマ制作/クレイアート】
FANTASIAN(FANTASIAN Neo Dimension)バーナード研究所2階|ゲーム空間美術
©MISTWALKER/©SQUARE ENIX
クレイアート × ミニチュアジオラマ × 背景美術 × ゲーム空間造形
Apple Arcade向けRPG『FANTASIAN』、およびスクウェア・エニックスより展開された『FANTASIAN Neo Dimension』に登場する“バーナード研究所2階”を、実際の立体セットとして制作したミニチュアジオラマ作品です。
本作は、天体観測を行う研究者の部屋として構成された空間で、研究の場でありながら、日々この場所で過ごしてきた生活の痕跡が感じられる室内として制作しました。ソファー、クッション、絵画、小棚、研究資料、散らばった本、天体望遠鏡、天井画に至るまで、室内を構成する要素を細密なミニチュアとして作り込み、静かな知性とアンティークな温かみを感じる背景美術として立体化しています。
ウォルナッツ・クレイワークスタジオでは、ビジュアルデザイン、セット設計、立体造形、ミニチュア小物制作、塗装、汚し加工、照明、撮影、3Dスキャンまでを一貫して担当。ゲーム空間としての世界観と、実際に人がそこで研究と生活を続けているような実在感をあわせ持つ、ミニチュアジオラマ制作事例です。
〈コンセプト〉
“バーナード研究所2階”は、1階と同様に生活感のある空間を大切にしながら、天体観測を行う研究室という設定を軸に制作したミニチュアジオラマです。
研究の合間に体を休めるためのソファーには色違いのクッションを置き、壁には自然物や世界の風景を描いた絵画を飾ることで、学術的な空間の中にも個人の趣味や感性が感じられる室内に仕上げました。床には散らばった本や研究資料の設計図が無造作に置かれ、日々思索と作業が繰り返されている部屋としての空気感を表現しています。
ウォルナッツ・クレイワークスタジオのジオラマ制作では、単に雰囲気のある部屋をつくるのではなく、そこに住む人の時間や行動が想像できる、嘘のないミニチュア空間を目指しています。本作でも、家具の配置、床の傷み、資料の置かれ方、小物の密度まで丁寧に設計し、研究者がこの部屋で長く暮らし、観測を続けてきたことが伝わるよう構成しました。
また、ミニチュア自体の構造にも工夫を加えています。部屋の正面側はあえて壁を取り払い、一空間を切り取ったような断面構成とすることで、見る人が中を覗き込みたくなるような、ミニチュアジオラマならではの面白さを持つ造形に仕上げました。
〈造形・素材の特徴〉
室内には、研究と生活の両方が感じられるよう、多くのミニチュア要素を細かく作り込んでいます。ソファーには色違いのクッションを添え、研究の合間にひと息つける柔らかな空気を加えました。壁面の絵画はアクリルガッシュによる手描きで、自然物や各地の風景をモチーフにした図像を小さな木枠の中に収めています。研究室でありながら、居住空間としての温度が感じられるようなアクセントとして取り入れています。
木の床板には、長い年月の使用を感じさせる汚しと削りを施しています。表面の擦れや色の重なりによって、よく歩く場所とそうでない場所の違いが見えるよう調整し、生活の蓄積が自然に伝わる床の表情を作り出しました。床に置かれた本や研究資料の設計図も、整いすぎた配置にはせず、作業の途中で一時的に置かれたような無造作さを残すことで、今も使われている空間としての説得力を高めています。
腰の高さほどの小棚はスチロールで制作し、実際に引き出しが開く構造としています。引き出しには約1mmほどの小さな取手を付け、見た目だけではなく、家具としての構造的なリアリティも持たせました。その上には、粘土で制作した照明を配置。可愛らしさとアンティーク感をあわせ持つデザインとし、室内を暖かな白熱灯で照らしているような雰囲気を演出しています。
部屋の中央には、大きな天体望遠鏡を配置しています。望遠鏡本体はすべて粘土で造形し、レンズ部分には夜空を感じさせる濃い青の塗装を施した上に、レジンで固めた透明感のあるレンズを重ねることで、より実物に近い構造感を表現しました。深い青の奥行きによって、いままさに宇宙を覗いているような印象を与える造形となっています。覗き込むための接眼部や角度調整用のハンドルなども、すべて手づくりで制作し、観測器具としての説得力を高めています。
天井には、中世ヨーロッパの天井画を思わせる装飾画を描いています。テーマは「中世ヨーロッパの人々が想像した宇宙」。ベースにモデリングペーストを塗って凹凸をつくり、その上からアクリルガッシュで手描きすることで、平面的な印刷にはない、絵肌のある装飾表現に仕上げました。室内の中央に置かれた天体望遠鏡と呼応するように、天井にも“宇宙への憧れ”を感じさせる意匠を持たせることで、空間全体のテーマ性を高めています。
〈素材と色彩設計〉
・家具・小棚:スチロールによる造形
・ソファー・クッション・小物類:粘土造形
・天体望遠鏡:粘土造形+レジン仕上げ
・レンズ表現:濃青塗装+透明レジン
・絵画・天井画:アクリルガッシュによる手描き
・天井下地:モデリングペースト
・床・構造部:木材・各種素材による組み立て
・塗装:アクリルガッシュによる多層塗装
・仕上げ:汚し加工・艶消し調整
・照明:LED照明による室内ライティング
色彩設計では、アンティークな室内空間らしい落ち着いた木部の色味を基調としながら、クッションや絵画、天井画、望遠鏡のレンズにアクセントとなる色彩を加えています。特にレンズの濃い青や、壁面の絵画、天井装飾の彩色によって、静かな研究室の中に幻想性と知的な豊かさが感じられるよう調整しました。全体は派手になりすぎず、研究室らしい落ち着きを保ちながら、細部を見るほど情報が増えていく空間として設計しています。
〈撮影・照明設計〉
撮影では、1階と同様にアンティークな雰囲気を大切にしながら、室内の落ち着いた空気感が伝わるよう照明を設計しました。全体を柔らかく照らしつつ、明るすぎず暗すぎないバランスでライティングを行い、家具や小物の立体感、床の質感、壁面装飾、望遠鏡の存在感が自然に浮かび上がるよう調整しています。
小棚の上の照明や中央の望遠鏡は、空間の視線の核となるよう、周囲との明暗差を意識して見せ方を整えています。ソファーや床に散らばる資料、本などにも適度な陰影を残すことで、静かな時間が流れる研究室のような雰囲気を演出しました。前面の壁を外した断面構成のため、室内全体を覗き込むような視点からも魅力が伝わるよう、奥行き感と情報量の両立を意識した撮影を行っています。
3Dスキャン時には、室内の細かな立体情報や望遠鏡、小棚、装飾、床まわりの構成が正確に読み取れるよう、安定したライティング環境でデータ化に対応しています。
〈担当範囲〉
・ビジュアルデザイン/セット設計
・立体造形
・ミニチュア小物一式造形
・色彩設計・汚し・塗装
・照明設計・撮影・編集
・3Dスキャン・データ化
〈制作情報〉
・ジオラマ名:バーナード研究所2階(FANTASIAN/FANTASIAN Neo Dimensionより)
・セットサイズ:H300 × W400 × D400mm
・制作期間:約1ヶ月
・使用素材:軽量粘土、樹脂粘土、石膏粘土、木粉粘土、スチロール、発泡素材、木材、針金、艶消しニス、レジン、アクリルガッシュ、LED照明 ほか
・撮影方式:多層ライティング+3Dスキャン対応
・制作年:2021年
本作は、ゲーム内に登場する“天体観測を行う研究室”を、クレイアートとミニチュアジオラマによって実在感のある背景美術として立体化した制作事例です。ソファーやクッション、壁面の絵画、散らばった本や研究資料、開閉可能な小棚、天体望遠鏡、そして中世ヨーロッパの宇宙観を描いた天井画まで、細部を手作業で積み重ねることで、研究と生活が共存する豊かな室内空間を表現しました。
ウォルナッツ・クレイワークスタジオでは、ゲーム・アニメ・キャラクターIP・映像作品に向けたミニチュアジオラマ制作、背景美術、立体造形、撮影用セット、3Dスキャン対応まで一貫して行っています。空間の世界観だけでなく、そこに暮らす人物の思考や時間の蓄積まで感じられる立体表現を通して、記憶に残るミニチュア空間をご提案します。
- Client
- スクウェア・エニックス, MISTWALKER
- Year
- 2021
- Style
- Diorama
