FANTASIAN(FANTASIAN Neo Dimension)「混沌の大地 ステージ4/カオス湖」|ミニチュアジオラマ制作・ゲーム空間美術

FANTASIAN(FANTASIAN Neo Dimension)「混沌の大地 ステージ4/カオス湖」|ミニチュアジオラマ制作・ゲーム空間美術

©MISTWALKER/©SQUARE ENIX

ミニチュアジオラマ制作 × ゲーム空間美術 × 撮影用ジオラマ制作 × FANTASIAN

Apple Arcade向けRPG『FANTASIAN』、およびスクウェア・エニックスより展開された『FANTASIAN Neo Dimension』に登場する“混沌の大地 ステージ4/カオス湖”を、実際の立体セットとして制作したミニチュアジオラマ作品です。
本作は、“混沌の大地”のラストダンジョンにあたるエリアであり、ボス戦が展開される重要なステージです。これまでのステージ1〜3と同様に、白い大地に赤い血管のようなひび割れが広がり、黒いタール状の液体が流れ、不気味な赤い巨石が点在する混沌の世界をベースに構成しています。
新たな要素として、ステージ内には黒い湖が点在し、その周囲には人間の皮膚の下にある筋繊維を思わせるような赤い紋様が広がっています。また、死んだ木々に寄生した昆虫の繭のような白い造形物や、赤い目玉のような模様が密集する不気味なディテールを加えることで、混沌の大地の中でも、より生理的な違和感と緊張感を持つ空間として立体化しています。
ウォルナッツ・クレイワークスタジオでは、ビジュアルデザイン、セット設計、立体造形、ミニチュア小物制作、色彩設計、汚し、塗装、照明、撮影、3Dスキャンまでを一貫して担当。ゲーム内のクライマックスにふさわしい異質な世界観を、手仕事による精密なジオラマ造形として制作した事例です。

〈コンセプト〉

“混沌の大地 ステージ4/カオス湖”は、混沌の大地の最終エリアとして、これまでの白・赤・黒を基調とした世界観を引き継ぎながら、さらに不快感や危険性が増した空間として構成しています。
白い大地に赤いひび割れが広がり、黒いタール状の液体が流れる基本構成は、ステージ1〜3から続く要素です。しかし本作では、単なる地形や岩の異常性だけでなく、黒い湖、皮膚の下の筋繊維を思わせる赤い紋様、寄生されたような白い繭、赤い目玉のような模様を組み合わせることで、混沌の大地そのものが生物的に変質しているような印象を強めています。
黒い湖は、静かに広がる水面ではなく、粘度の高いタール状の液体が溜まった危険な場所として表現しています。その周囲には、白い大地の下に敷き詰められた赤い樹脂粘土が、上層の白い皮膚を突き破るように盛り上がる造形を加えました。これにより、大地の表面が破れ、内部の異常な組織が露出しているような、不気味な生命感を持たせています。
また、白い死んだ木々に寄生した繭状の造形物は、昆虫の卵や繭、あるいは目玉のようにも見えるディテールとして設計しています。美しい自然物ではなく、生命が変質し、別の何かに侵食されているように見えることで、ラストダンジョンらしい緊張感と不穏さを表現しています。
脱出路付近には、黒い血管とも植物とも言えない細長いオブジェクトを配置しています。これは、白い大地の内部から血管のようなものが突き出し、地表を這い出しているように見せるための造形です。植物の根のようにも、血管の束のようにも見える形状にすることで、人工物でも自然物でもない、混沌の世界ならではの異質な存在として構成しています。

〈造形・素材の特徴〉

大地のベースは発泡スチロールで構成し、高低差をつけながら地形の起伏を作り出しています。表面には白アクリルガッシュとレジンサンドを用い、乾いた砂のようでもあり、白く硬質化した皮膚のようにも見える地表表現を行っています。
本作では、その白い大地の下に赤い樹脂粘土を敷き詰め、上層の白い表面を突き破るように赤い造形が盛り上がる構造を取り入れています。白い地表に赤いひび割れを描くだけでなく、内部から異常な組織が押し出されているように見せることで、混沌の大地の侵食表現をより立体的に発展させました。
赤い筋繊維のような紋様は、すべて粘土カッターを使って手作業で線を描き出しています。黒い湖の周囲に広がる紋様は、人間の皮膚の下にある筋肉や血管を想起させるように構成し、地形でありながら生物の内部を見ているような感覚を持たせています。
黒いタール状の湖は、ジェルメディウムとランプブラックのアクリルガッシュをベースに制作しています。液体の流れや粘度が感じられるよう、爪楊枝で絵の具を混ぜ合わせるように動きをつけ、単なる黒い面ではなく、重く濁った液体がゆっくりとうごめいているような質感を目指しました。
白い死んだ木々に寄生した繭状の造形物は、軽量粘土で制作しています。表面に爪楊枝でひとつひとつ穴を開け、その部分にアクリルガッシュで赤い目玉のような模様を描き入れています。規則的すぎない密集感を意識することで、昆虫の繭や卵、寄生体のような生理的な不快感が伝わる造形に仕上げています。
白い木々は、前ステージから続く死んだ木々のイメージを引き継ぎながら、カオス湖の周囲に点在する異常な植生として配置しています。樹脂粘土で枝や幹を一本ずつ制作し、白く化石化したような印象にすることで、生命が失われた世界に、別の不気味な生命体が寄生しているような対比を生み出しています。
脱出路付近の黒い血管状のオブジェクトは、樹脂粘土で細いパーツを1本ずつ作り、それらを編むように組み合わせて制作しています。設置面から植物の根が這い出してくるような表現を加えることで、白い大地の内部から黒い血管が突き出てしまったように見える構成としました。
本作は、白い大地、赤いひび割れ、黒い湖、寄生した繭、死んだ木々、血管状のオブジェクトが組み合わさることで、混沌の大地の最終エリアにふさわしい、生物的で不穏なゲーム空間美術として制作しています。

〈素材と色彩設計〉

・大地ベース:スチロール造形
・地表表現:白アクリルガッシュ+レジンサンド+樹脂粘土
・地形の起伏表現:スチロールの高低差による構成
・岩肌加工:スチロールカッターによるランダムな削り出し
・赤いひび割れ:アクリルガッシュ+重曹+レジンサンドによる立体表現
・赤い筋繊維状の紋様:樹脂粘土+粘土カッターによる手作業の線描
・黒い湖・黒い川:ジェルメディウム+ランプブラックのアクリルガッシュ
・流れの表現:グレーの描き込み+爪楊枝による流動表現
・白い繭:軽量粘土+アクリルガッシュ
・赤い目玉状の模様:アクリルガッシュによる描き込み
・白い木々:樹脂粘土による造形
・黒い血管状オブジェクト:樹脂粘土による細部造形
色彩設計では、混沌の大地シリーズに共通する白・赤・黒を基調としながら、ステージ4では特に“生物的な不快感”が強く伝わるように調整しています。白い大地は死んだ皮膚や化石化した地表を思わせ、赤いひび割れや筋繊維状の紋様は、その内部に潜む異常な生命感を示しています。
黒い湖や黒い川は、単なる水ではなく、重く粘度の高いタール状の液体として表現しています。光沢と濁りを持たせることで、近づいてはいけない危険な場所であることが直感的に伝わるよう設計しました。
白い繭と赤い目玉状の模様は、ステージ全体に強い違和感を与える要素です。白い木々と組み合わせることで、死んだ自然物に何かが寄生しているような印象をつくり、ラストダンジョンらしい不穏な空気を強めています。

〈撮影・照明設計〉

撮影では、白い大地の質感を保ちながら、黒い湖、赤い紋様、白い繭、死んだ木々のディテールが見えるよう、複数のライトを使って陰影を調整しています。ラストダンジョンとしての緊張感を出すため、全体を明るく見せすぎず、黒い湖や血管状のオブジェクトに適度な影が落ちるように設計しました。
黒い湖は、光の当たり方によって粘度や流動感が伝わる重要な要素です。表面の反射が強くなりすぎるとディテールが飛んでしまうため、光量と角度を調整し、タール状の重さが残るように撮影しています。
また、白い繭や赤い目玉状の模様は、小さなディテールでありながらステージの印象を大きく左右するため、近景でも見えるように制作・撮影しています。3Dスキャン時には、立体情報が正確に取得できるよう、陰影を抑えた安定した照明環境で撮影し、背景美術としての地形構造や造形の情報をデータ化できるよう対応しています。

〈担当範囲〉

・ビジュアルデザイン/セット設計
・立体造形
・ミニチュア小物一式造形
・色彩設計・汚し・塗装
・照明設計・撮影・編集
・3Dスキャン・データ化

〈制作情報〉

・セットサイズ:H400 × W600 × D900mm
・制作期間:約1ヶ月
・使用素材:軽量粘土、樹脂粘土、石膏粘土、重曹、スチロール、レジンサンド、モデリングペースト、アクリルガッシュ、ジェルメディウム、LED照明 ほか
・撮影方式:多層ライティング+3Dスキャン対応
・制作年:2021年

本作は、“混沌の大地”のラストダンジョンであり、ボス戦が展開される重要なステージとして制作したミニチュアジオラマです。白い大地に赤い血管のようなひび割れが広がり、黒いタール状の湖が点在し、死んだ木々に寄生した白い繭や、赤い目玉状の模様、黒い血管状のオブジェクトが共存することで、混沌の世界の最終エリアにふさわしい不穏な空間を立体化しています。
ウォルナッツ・クレイワークスタジオでは、ゲーム・アニメ・キャラクターIP・映像作品に向けたミニチュアジオラマ制作、撮影用ジオラマ制作、ゲーム背景美術、ミニチュアセット制作、立体造形、3Dスキャン対応まで一貫して行っています。現実には存在しない異形の世界観や、物語性を持つ空間を、手仕事による実在感を伴って立体化し、作品世界をより深く印象づける背景美術をご提案します。

Client
スクウェア・エニックス, MISTWALKER
Year
2021
Style
Diorama

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